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あの日見上げた空には、星も月もなかった────
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Author:水無月十夜
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…闇が、滴る
ぼとり ぼとり ぼとり

質量を持たない「それ」が、血の様に濃く、熱い液体の様に
滴る

私の肌を濡らしたそれは、毛穴という毛穴から胎内に潜り込み
内から私の胎を満たす
あふれ出んばかりに注ぎ込まれたそれに満足する様に
飽食で膨れた腹を撫でる

この世界が私のあるべき所
幼い頃から、妄念と嫉妬にまみれて生きてきた私は
いつしか「こちら側」に取り込まれていた

暗黒
真っ赤な月
無限に咲く彼岸花


「ここ」が具体的に「どこ」であるかはわからない
ただ、わたしが望めば門は開かれていた



門は始めから「そこ」に ‘あ’ったのだ

平和に呆け、日常に甘んじる奴らには決して見えない
解脱への門



その先で私は「それ」に出会った

 浄玻璃の鏡

「それ」はそう名乗った


佛教において閻魔天が所有し、閻魔庁において死者の生前の善悪や苦悩を映す鏡
それは、その名を名乗った

生者にかざせば、その半生の記憶が
そう
彼らは悔いているのだ
おのれらの過去を
力無き物であるが故に、犯さざるをえなかった過ちを


化け物と罵られ
妻子を救えず
多くの人を見殺しにした


心のどこかには、その苦悩に立ち向かうのではなく逃避しようと言う弱さ
出会わなければ
愛さなければ
性別さえ違えば

それらを失う事にはならなかった
こんな苦悩を背負う事はなかった

そう思って逃げる心
それが心に影を産んだ


その影を映して現実世界に引き出す
胸像である彼らの存在感の確かさは
苦悩の度合いにもよる

時に夢として
時に現実の様に
さもなくば記憶の混乱
もしくは疑問すら持たぬ

さあ、影達よ
その腑抜け共を、浄玻璃の鏡の中へ追い落とせ

邪魔者共は永遠に封じ
キツネには私が救いの手を差し伸べよう


うふふ…
とうとう捕まえた…





====================
今回の性別転換、脳内ではこんな感じの裏事情です。
キツネ→キツネ子は、ふと気が付いたら性別転換をしており、自分が男であったはずとは覚えていますが、「自分がキツネ」という人間であった事は覚えていません。
すなわち現状を把握出来ていないで混乱していますので、女だけど男湯に入ったり、「ついている。ついていない」の事で悩んだりします( ̄¬ ̄)
(この辺、ご都合主義で変わるかも知れません)




読んでいる方もそうそういらっしゃらないでしょうが、キツネの許嫁であった笙鼓(しょうこ)は、前期では怨霊として顕れるも、どうにか成仏。

だがしかし、本人の骸に九尾が邪気眼生命力を注入して邪気眼再生したのが今期の笙鼓。
今度は肉体がありますが、基本的に死人であり、九尾の眷属となった以上、他者の精気を喰って生きる妖怪と成り果てています。
喰わなければ朽ち果てる。


そんなお話が今期の展開。
夏の間、殆どいじる事が出来なかったので既に破綻気味ではありますが、同化末永くお付き合い下さいませ!


====================
ついでに、ニコ動ですがキツネと笙鼓のイメージに合う物があったので。
志方あき子+アイマスMADなんですが…
曲は凄く良いです。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1046149
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